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親指シフト関連の特許出願について(その2)

親指シフト関連の特許出願についての追記です。

 

実開昭58-16021号「キーの2重押下げ検知装置」

出願人:富士通株式会社

出願日 昭和51年(1976)10月28日

内容 キーボード同時打鍵シフトをハードウェアで判定する特許です。どうやらこれが親指シフトの最も古い出願のようです。本当にハードウエアロジックだけで同時打鍵を判定しています。

実開昭58-16021号 図面

特公昭62-44285号「日本字入力装置用鍵盤」

出願人:富士通株式会社

出願日 昭和53年(1978)3月29日

内容 45字以上もあるカナ文字を、オペレータが両手を定位置に置いた状態のもとでキー打鍵操作を能率よく行うことが課題です。効果として、文字入力速度は向上し、使用者の疲労は減少することが記載されています。これは、JISカナ配列との比較だとおもいます。親指シフト配列のプロトタイプが図示されているところが極めて興味深いです。

特公昭62-44285号 図面

実公昭61-42176号「キーボード」

出願人:富士通株式会社

出願日 昭和53年(1978)6月14日

内容 文字キーは親指シフトにかなり近いものとなりましたが、相変わらず親指キーは4つのままです。

実公昭61-42176号 図面

 なお、この配列図と親指シフト配列との違いは、ぁぅぇぉの拗音と・()の記号キーです。以下に差異を赤字で示します。

 

 

特公昭62-37405号「文字入力方式」

出願人:富士通株式会社

出願日 昭和53年(1978)9月22日

内容 2つ以上の鍵を同時に押すと、それ等の鍵の意味のある組み合わせとしての文字または記号が出力できる文字入力装置の発明です。

特公昭62-37405 第1図

 

特公昭63-46868号「文字入力方式」
出願人:富士通株式会社
原出願日 昭和53年(1978)9月22日 

内容 特願昭53-117268(特公昭62-37405号)の分割出願です。打鍵時刻に応じて同時打鍵か否かを判定する発明です。


特公昭63-49262号「文字入力方式」
出願人:富士通株式会社
原出願日 昭和53年(1978)3月29日 

内容 特願昭53-36455(特公昭62-44285号)の分割出願です。文字キーはシフトなし、および文字キーとシフトキーの組み合わせで入力する発明です。


特公平1-42408号「文字入力方式」
出願人:富士通株式会社
原出願日 昭和53年(1978)9月22日

内容 特願昭53-117268(特公昭62-37405号)の分割出願です。3つのキーが連続して打鍵されているときの同時打鍵を判定する発明です。

 

特公平6-82314号「キーボード同時打鍵シフト処理方式」
出願人:富士通株式会社
出願日 昭和60年(1985)5月17日

内容 200mSECたってキーが押されていない/かな文字キー押下/親指シフトキー押下/その他のキーの押下の4種類の分類符号をバッファB1,B2,B3に格納して出力コードを判定するものです。なお、第1表の注1の「200secたって…」は「200mSECたって…」の誤記と思われます。

特公平6-82314号 第1表

第1表の(14)は、文字キー⇒親指キー⇒文字キーの打鍵シーケンスを示しています。

「(14)の場合、T1はB3のキーが押されてからB2のキーが押されるまでの間、T2はB2のキーが押されてからB1のキーが押されるまでの間を示し、T1>T2の場合B3のかな文
字キーがB2のシフト付きで出力され、T1<T2の場合はB3のかな文字キーが出力後B1のかな文字キーがB2のシフト付きで出力される。」と記載されています。これにより、同時打鍵コードを的確に判定可能です。

特公平6-82314号 第2図

 第2図のキー配列は、いわゆる親指シフト配列です。ただし、NICOLA配列とは微妙に異なります。